十条の住宅

2016

東京都北区十条の「木密地域」にある住宅。

クライアントからの諸室配置の要望から、1階がボリューム最小となり、その上に大きなボリュームが乗るキノコのような断面構成となったため、必然的に1階の壁量が確保できない状況が発生した。
そのため、玄関と執務スペースのみの1階を鉄骨造とし、その上に木造の2,3階を載せる構造とした。
前面道路からの厳しい道路斜線制限は天空率を利用した緩和により回避し、同じく厳しい北側の高度斜線には緩和がないため、断面構成を工夫することにより延床面積約100m2を確保しながら、外部には庭とピロティ上の駐車スペースを設けることが可能となった。
この外部スペースは、建物の通風・採光環境を向上させることにも寄与している。
また、建物最頂部に換気用開口を設け、夏季には頂部を開放することによる煙突効果で、建物内に風の流れを作り出す。
また冬季には2,3階を縦につなぐよう設置した送風シャフトにより、3階に入る太陽光の直射で温められた空気を2階の床下経由で2階の居住スペースへ回し、暖房不可を軽減させている。

・延床面積:100.39 m2
・階数:地上3階
・構造:木造<在来工法>(一部鉄骨造)

・共同設計steam Inc.
・構造設計金子武史構造設計事務所
・施工:株式会社小川工務店

※撮影益永研司写真事務所