荒木町のバー

2015

荒木町のバー内装工事。

直前は20年以上続いたカラオケスナックが入っていたいたという空きテナントを、いわゆる「居抜き」の状態からリニューアルした。
トイレを和式から洋式へ改修したことを除いては大きな作り替えはなく、基本は仕上を変えることで更新している。

「新しくキレイに作り直す」ことは至極簡単だが、オーナー様の要望は「古き良き雰囲気を残して」ということであった。
そのため、ただの「汚れ」は丁寧に消し、20年以上もの間たくさんのお客が通っていたであろう前店舗からの “味” とも言える「痕跡」は残し、さらにこれから多くのお客が通うことで新たな「痕跡」が残っていくように、仕上げを選定した。

カウンター上の照明のシェードは、オーナー様が集めていた大正時代の乳白ガラスのアンティークもの。このシェードに合うソケットやシェードホルダーは良いものが見つからず、パーツを集めて自作している。
ソファ席のテーブルにタイル仕上の天板を使ったことから、(元は「ストーブ台」で、これもオーナー様が所有していたもの。)これに合わせてカウンター上もタイル仕上とし、そのタイル仕上の見切り材(エッジ材)は真鍮無垢材の黒染めとした。

カウンターに座ったひとの手が触れるうち、真鍮の黒染めは徐々にはがれ、真鍮の生地が覗くようになる。多くのお客が通うことで、ここにも新たな「痕跡」が残っていくことを意図している。

・施工面積:23.75 m2
・施工:株式会社A-crew東京